ポジティブ・サム・ゲーム
WTO訴訟の考え方
WTO体制下の米欧通商紛争 : 訴訟か交渉か
このWTOの訴訟研究に興味深いことが載っていた。訴訟と交渉の問題である。
(0)ランダム提訴説 訴訟・交渉の切り替えに影響を与える要因は観察されない.
(A)取引費用説 争点が不可分であると,訴訟で決着が付きやすい.
(B)利益交差説 利益交差が起こっていると,訴訟で決着が付きやすい.
この中で非常に重要なのは利益交差説である。これは非関税障壁などによって比較優位ではない産業を保護している場合などのときに、生産者などの利益と消費者利益が考えられ、生産者側は圧力団体をもって反対するが、消費者は圧力を加えることができないというケースがほとんどため、WTOのルールを遵守できにくいという場合だ。
この場合、訴訟によって敗訴したほうが被提訴側も利益を得るため、訴訟が歓迎されるというもの。これはゼロサムゲームではなくポジティブ・サム・ゲームと呼ばれる。
そう考えると、訴訟の勝敗よりも、訴訟によって両得である場合の訴訟結果が重視されている。
訴訟は悪ではなく、提訴側にも被提訴側にも利益をもたらす場合に行われ、交渉はそうでない場合に行われるということである。
これはTPPを考える場合の重要な視点ではなかろうか?
内国民待遇否定論者は一定の産業団体の利益のために代弁しているケースが多いが、TPPで行われた訴訟のアメリカ勝訴の背景は実はここにもその意図があるのである。決してアメリカの利益ではなく両方の利益になる訴訟である場合が多いということ。訴訟に対する観点を変更する必要がありそうだ。
WTO訴訟は、[圧力団体の意見に訴訟圧力をぶつけるという行政の知恵です。農業系の圧力団体に対して「もう補助金を出し続けられません、自立してください。」という意見をTPPを利用して言いたいのですよ。それがTPPではもっと明らかになるので嫌がっているという構図に過ぎません。つまり自己圧力を軽減するTPP圧力に反対しているだけです。行き過ぎた自由主義を否定するのはそういう意味です。
問題は、内圧が国益に適うかどうか外圧が国益に適うかどうかは別問題です。国益とは何かというのはまた別問題です。言えるのは、内部にいる様々な圧力団体
日本経済団体連合会(経団連)
経済同友会
関西経済連合会(関経連)
中部経済連合会(中経連)
日本商工会議所(日商)
日本労働組合総連合会(連合)
全国労働組合総連合
全国労働組合連絡協議会 (1989-)
農業協同組合(農協)
全日本自治団体労働組合(自治労)
日本教職員組合(日教組)
日本PTA全国協議会
日本会議
日本医師会
日本看護協会
日本助産師会
日本歯科医師会
日本薬剤師会
日本遺族会
日本馬主協会連合会
全国郵便局長会
全国消防長会
全国消防職員協議会
地方六団体
在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)
在日本大韓民国民団(民団)
部落解放同盟
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
環境団体
などのどの圧力が国益なのかは不明であり、行政は比較して分配をきめているのでしょう。WTOやTPPの訴訟はその捌きを決断するより大きな圧力になるのです。反TPP勢力はそれが気に入らないというだけのことでしょう?
公衆衛生を守るため、一定の規格を満たさない食品や農産物の輸入を認めない
労働者酷使によって価格競争力を得た製品を労働ダンピング商品として排除する(→フェアトレード)
宗教的理由(戒律、タブー)によって規範に反する製品を排除する
政府調達先を事実上国内企業に限る
国内販売製品の一定割合以上の部品に国内生産品(ローカルコンテンツ)の使用を義務付ける
自国文化育成のため、テレビ放映や映画上映における輸入コンテンツの割合の制限枠を設ける(→スクリーンクォータ)
などが今まで行われてきており、近年では特に、
障害者保護を行わない国家・地域で製造された製品を排除する
環境汚染対策を十分に行わない国家・地域で製造された製品を排除する
遺伝子工学(いわゆるバイオテクノロジー)的手法を用いた農/畜産物を排除する
資源管理国際協定に従わない国家・地域で収穫された水産物(マグロが好例)を排除する
などの非関税障壁を担う利害団体のどれを国益であるとするかは民主主義体制では選挙によるが、それをWTO訴訟圧力で制御したいという行政の意思を感じる。
私は、軍需産業を振興しようという意味では、軍需産業圧力に入ります。それは比較優位の4要件
あらかじめ与えられた天然資源の存在量
後天的に取得した資源の存在量
科学技術上の優位も含む優れた知識
特化(専門化)
のうちのいくつかを満たす産業だと思うからです。比較優位ではない産業労働者は比較優位である産業労働者として移動すべきであり、就労忌避産業には生活保護受給者などの権利を「公共の福祉」によって一定剥奪し就労させる一種の下放政策が必要だと考えています。それは権利義務の等価交換で十分成立するでしょう。
国税の配当金で成立する産業維持は税を増大させ、赤字を肥大させるだけです。そういう意味では私は、小さな政府・夜警国家論者ですね。
結論 TPPは外圧を利用した内圧排除の財政改革です。反TPP派は内圧の一翼を担っている。敗訴は敗北ではないという視点から何が国益なのかを冷静に考える必要があります。


WTO体制下の米欧通商紛争 : 訴訟か交渉か
このWTOの訴訟研究に興味深いことが載っていた。訴訟と交渉の問題である。
(0)ランダム提訴説 訴訟・交渉の切り替えに影響を与える要因は観察されない.
(A)取引費用説 争点が不可分であると,訴訟で決着が付きやすい.
(B)利益交差説 利益交差が起こっていると,訴訟で決着が付きやすい.
この中で非常に重要なのは利益交差説である。これは非関税障壁などによって比較優位ではない産業を保護している場合などのときに、生産者などの利益と消費者利益が考えられ、生産者側は圧力団体をもって反対するが、消費者は圧力を加えることができないというケースがほとんどため、WTOのルールを遵守できにくいという場合だ。
この場合、訴訟によって敗訴したほうが被提訴側も利益を得るため、訴訟が歓迎されるというもの。これはゼロサムゲームではなくポジティブ・サム・ゲームと呼ばれる。
そう考えると、訴訟の勝敗よりも、訴訟によって両得である場合の訴訟結果が重視されている。
訴訟は悪ではなく、提訴側にも被提訴側にも利益をもたらす場合に行われ、交渉はそうでない場合に行われるということである。
これはTPPを考える場合の重要な視点ではなかろうか?
内国民待遇否定論者は一定の産業団体の利益のために代弁しているケースが多いが、TPPで行われた訴訟のアメリカ勝訴の背景は実はここにもその意図があるのである。決してアメリカの利益ではなく両方の利益になる訴訟である場合が多いということ。訴訟に対する観点を変更する必要がありそうだ。
WTO訴訟は、[圧力団体の意見に訴訟圧力をぶつけるという行政の知恵です。農業系の圧力団体に対して「もう補助金を出し続けられません、自立してください。」という意見をTPPを利用して言いたいのですよ。それがTPPではもっと明らかになるので嫌がっているという構図に過ぎません。つまり自己圧力を軽減するTPP圧力に反対しているだけです。行き過ぎた自由主義を否定するのはそういう意味です。
問題は、内圧が国益に適うかどうか外圧が国益に適うかどうかは別問題です。国益とは何かというのはまた別問題です。言えるのは、内部にいる様々な圧力団体
日本経済団体連合会(経団連)
経済同友会
関西経済連合会(関経連)
中部経済連合会(中経連)
日本商工会議所(日商)
日本労働組合総連合会(連合)
全国労働組合総連合
全国労働組合連絡協議会 (1989-)
農業協同組合(農協)
全日本自治団体労働組合(自治労)
日本教職員組合(日教組)
日本PTA全国協議会
日本会議
日本医師会
日本看護協会
日本助産師会
日本歯科医師会
日本薬剤師会
日本遺族会
日本馬主協会連合会
全国郵便局長会
全国消防長会
全国消防職員協議会
地方六団体
在日本朝鮮人総聯合会(朝鮮総聯)
在日本大韓民国民団(民団)
部落解放同盟
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会
環境団体
などのどの圧力が国益なのかは不明であり、行政は比較して分配をきめているのでしょう。WTOやTPPの訴訟はその捌きを決断するより大きな圧力になるのです。反TPP勢力はそれが気に入らないというだけのことでしょう?
公衆衛生を守るため、一定の規格を満たさない食品や農産物の輸入を認めない
労働者酷使によって価格競争力を得た製品を労働ダンピング商品として排除する(→フェアトレード)
宗教的理由(戒律、タブー)によって規範に反する製品を排除する
政府調達先を事実上国内企業に限る
国内販売製品の一定割合以上の部品に国内生産品(ローカルコンテンツ)の使用を義務付ける
自国文化育成のため、テレビ放映や映画上映における輸入コンテンツの割合の制限枠を設ける(→スクリーンクォータ)
などが今まで行われてきており、近年では特に、
障害者保護を行わない国家・地域で製造された製品を排除する
環境汚染対策を十分に行わない国家・地域で製造された製品を排除する
遺伝子工学(いわゆるバイオテクノロジー)的手法を用いた農/畜産物を排除する
資源管理国際協定に従わない国家・地域で収穫された水産物(マグロが好例)を排除する
などの非関税障壁を担う利害団体のどれを国益であるとするかは民主主義体制では選挙によるが、それをWTO訴訟圧力で制御したいという行政の意思を感じる。
私は、軍需産業を振興しようという意味では、軍需産業圧力に入ります。それは比較優位の4要件
あらかじめ与えられた天然資源の存在量
後天的に取得した資源の存在量
科学技術上の優位も含む優れた知識
特化(専門化)
のうちのいくつかを満たす産業だと思うからです。比較優位ではない産業労働者は比較優位である産業労働者として移動すべきであり、就労忌避産業には生活保護受給者などの権利を「公共の福祉」によって一定剥奪し就労させる一種の下放政策が必要だと考えています。それは権利義務の等価交換で十分成立するでしょう。
国税の配当金で成立する産業維持は税を増大させ、赤字を肥大させるだけです。そういう意味では私は、小さな政府・夜警国家論者ですね。
結論 TPPは外圧を利用した内圧排除の財政改革です。反TPP派は内圧の一翼を担っている。敗訴は敗北ではないという視点から何が国益なのかを冷静に考える必要があります。


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